あと40日

だと、きみの母が言った。いよいよだな、と、月並みな感想を、父は抱く。十月十日。十分な準備はしてこれただろうか、やり残していることはないだろうか、そんなことを、10分に1回くらい、考える。村上春樹は「完璧な文章などといったものは存在しない。 完璧な絶望が存在しないようにね。」と言うけれど、「完璧な準備」っていうのは存在するんだろうか。多分しないだろう。でも、完璧を目指そうと思って毎日を過ごすことはとてもとても大切だと思うから、必死に勉強して、必死に考えて、必死に話し合って、必死に準備しようと思う。ぼくはどちらかというとマニュアル人間だから(クックパッドのレシピ通りに作ってよ、ときみの母に言っては嫌がられているよ)、マニュアル人間としての限界までたどり着けるように努力してみようと思う。改めて。英語も勉強しなきゃだし、仕事はほんのちょっとだけ低調なんだけど、どんなことに対しても全力っていうのは無理だから、きみを迎えるための時間を最大限取るようにしようと思うよ。なにしろ、人生初の仕事だし、一生に一度(すくなくともきみを迎える、っていう意味においてはね)の仕事だから。不思議と緊張はしないけど、ワクワクしてばかりだけど、母はちょっとビビッてるけど、家族の力を合わせて、人生で一番幸せな日にしようね。